【 いまに残るTYK無線電話機 】

 当時13台製造されたというTYK無線電話機だが、現在残るのは2台のみ。
一台は、東京大手町にある逓信総合博物館に所蔵。
もう一台は、東京国分寺にある(独)情報通信研究機構(NICT)にて、平成17年4月から復元活動が行われている。

逓信総合博物館のそれは、木製の綺麗な電話ボックスに格納された状態で展示されており、ほかの歴史的な展示物と同様、通信の歴史を今に語り継いでいる。

また、2008年には、産業歴史遺産としても登録されています。

参考文献:  
  逓信省式実用無線電話器付実地試験成績書  大正2年 電気試験所第二部
  TYK無線電話機の修理復元(中間報告) 共同研究報告書 平成20年3月 井上恵子、若井登、小室純一
【 復元機 】

 逓信総合博物館(当時の郵政資料館)に所蔵されていた2台のうち、1台は損傷の激しく保存も危うい状態にあった。
 そこで当時の通信総合研究所(現在のNICT)にて、全面的な修理復元が行われることとなった。
 この機械的な修復を中心となって進めていたのは、幕末から明治に掛けて電気通信の黎明期における、貴重な通信機器の修復を継続されてきた、電波研究所の元所長、若井登先生である。復元活動の一例を挙げると、「ペリーのエンボッシングモールス電信機」や「平賀源内のエレキテル」などである。
 さて、資料によると、復元が開始された頃のTYK無線電話機は、搭載された電池が暴れ周り、内部のコンデンサやコイルは新たに製作する必要があるほど、"手のつけようの無い”破損ぶりであったとのことである。
 現在では、およそ機械的な復元は完了し、動作試験を行うための試験環境の準備を整えようとしている段階とのことである。
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